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VPNとは何か。5分で理解する暗号化通信の基本
あなたが図書館のパソコンから銀行のウェブサイトにアクセスするとき、銀行側はあなたがどこからアクセスしているかを知ることができます。同じように、インターネット上のすべてのウェブサイトは、あなたの接続元の情報を見ることができるのです。では、その情報を隠したい場合、どうすればよいのでしょうか。ここで登場するのがVPN(Virtual Private Network、仮想専用ネットワーク)という技術です。
VPNの基本的な考え方
VPNを最も簡単に説明すると、あなたのインターネット通信を「暗号化されたトンネル」を通して別の場所から発信したように見せる技術です。より具体的には、あなたのパソコンやスマートフォンとVPNサーバー(どこか遠くにある別のコンピュータ)の間に、暗号化されたデータ通路が作られます。あなたが送受信するすべての情報はこのトンネルを通るため、途中の経路にいる人たちには暗号化されたデータにしか見えません。
思い出してください。郵便で手紙を送るときの流れを。あなたが手紙を書いて、それを封筒に入れて、住所を書いて、郵便ポストに投函します。郵便配達員はその封筒がどこから来たのか、そして誰に送られるのかを知ります。しかし、中身は見えません。VPNはこれと似ていますが、さらに工夫があります。VPNは「あなたの手紙をVPNサーバーの場所から送られたように見せる」というものです。
ウェブサイト側から見えるもの
あなたがVPNを使わずにあるウェブサイトを訪問すると、そのサイト側には2つの情報が見えます。ひとつは、あなたのデバイス(パソコンやスマートフォン)に割り当てられたIPアドレス(Internet Protocol address)です。これはインターネット上の「住所」のようなものです。もうひとつは、あなたが実際にどこからアクセスしているかという位置情報で、IPアドレスからおおよそ特定できます。
しかし、VPNを使うと、ウェブサイト側に見えるのはあなたのIPアドレスではなく、VPNサーバーのIPアドレスです。つまり、ウェブサイト側には「このアクセスはVPNサーバーがある場所から来ている」と見えるわけです。これにより、あなたの実際の位置やインターネットサービスプロバイダ(ISP)の情報が隠されます。あなたの通信内容はトンネルの中で暗号化されているため、ISPや経路上の他の観察者も、あなたが何をしているのか詳しく知ることはできません。
VPNが実際にできることと、できないこと
VPNは非常に便利ですが、万能ではありません。VPNが実現することは、あなたのIPアドレスを隠し、あなたの通信を暗号化することです。これにより、ISPや公開WiFiの管理者、通信経路上の盗聴者があなたの行動を詳しく追跡することは難しくなります。
しかし、VPNが実現しないことも多くあります。たとえば、あなたがウェブサイトにログインすれば、そのサイト側はあなたのアカウントから誰であるかを知ります。VPNを使っていても、GoogleアカウントでログインすればGoogleはあなたが誰かを知っています。また、VPNサーバー自体は、あなたの通信内容を見ることができます。つまり、VPNサーバーを運営する企業が信頼できるかどうかが重要になります。さらに、ウェブサイトはブラウザのクッキーやその他の方法を使って、VPNを使っていても個人を追跡することが可能です。
要するに、VPNは「あなたがどこからアクセスしているか」という情報を隠しますが、「あなたが誰か」あるいは「あなたが何をしているか」を完全に隠すわけではないのです。VPNはプライバシー保護のひとつの手段ですが、それだけですべての問題が解決するわけではありません。
まとめ
VPNは、あなたとVPNサーバーの間に暗号化されたトンネルを作り、ウェブサイト側には別の場所からのアクセスに見せる技術です。これによりIPアドレスが隠され、通信内容が保護されます。ただし、VPNはあなたの身元をすべて隠すわけではなく、VPNサーバーの信頼性も重要です。VPNを理解するには、IPアドレスの仕組み、暗号化とは何か、そしてオンラインプライバシーの全体像を知ることが大切です。