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VnExpressはなぜ中国と北朝鮮で遮断されるのか:検閲とアクセス制限の実態
VnExpressとはなにか
VnExpressはベトナムの大手オンラインメディア企業で、1999年に設立されました。親会社はベトナム新聞社(Vietnam News Agency傘下)であり、ベトナム国内では最大級のニュースサイトとして機能しています。月間ユーザー数は数千万に及び、政治、経済、社会、テクノロジーなど幅広いジャンルのニュースを配信しています。ベトナム国内での影響力は極めて大きく、公式メディアとしての地位を保有しています。
検閲が実施される理由
中国ではVnExpressが遮断されている主な理由は、南シナ海での領土紛争に関する報道です。中国はVnExpressがベトナムの領土主張を支持する記事を掲載していることを問題視しており、中華人民共和国の「国家安全保障法」および「サイバーセキュリティ法」の規定に基づいて、アクセスを制限しています。また、香港やチベットに関する独立した報道も検閲対象となります。
北朝鮮ではより根本的な理由が存在します。北朝鮮は国民に対する情報統制を極度に厳格に実施しており、外部メディアへのアクセスはほぼ全面的に禁止されています。VnExpressを含む国外ニュースサイトは、政権批判につながる可能性のある情報として認識され、「朝鮮民主主義人民共和国電気通信法」に基づいて遮断されています。
技術的な遮断手法
中国におけるVnExpressの遮断は、複数の層で実施されています。DNSレベルでは、中国国内のDNSサーバーがVnExpressのドメインに対して不正な応答を返すことで、ユーザーが正規サイトに到達できないようにしています。さらにIPアドレスベースのフィルタリングも併用されており、VnExpressのサーバーIPそのものへのアクセスが遮断されています。加えて、ディープパケットインスペクション(DPI)技術により、SNIハンドシェイク段階でHTTPSコネクションを検出して遮断するという多段階の対応を実施しています。
北朝鮮では、そもそもインターネットアクセス自体が統制されているため、一般国民はVnExpressへのアクセスを試みることすら困難です。少数の特権階級や政府関係者のみが限定的なネットワークアクセスを保有しており、その環階層についても厳格なホワイトリスト方式が採用されています。
ユーザーの対応方法
中国ではVPN技術を使用してこれらの遮断を回避するユーザーが存在しますが、中国政府は「違法なVPN」の規制を強化しており、利用そのものが法的リスクを伴います。DNS over HTTPSやプロキシサービスを経由するユーザーもいますが、DPI検出の精度向上に伴い、これらの手法の有効性は低下しつつあります。北朝鮮ではこうした技術的対抗手段の使用はほぼ現実的ではありません。
代替サービス
ベトナムの政治的立場に近い報道を求めるユーザーは、タイのBangkok Post、シンガポールのCNA(Channel News Asia)、またはBBCベトナム語版などにアクセスしています。ただしこれらも中国ではVnExpress同様に制限される傾向があります。
今後の展望
中国の検閲は長期的に強化されつつあり、VnExpressへのアクセス制限が緩和される可能性は低いと見られます。北朝鮮においても同様に制限が継続するでしょう。