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Kickass Torrents:検閲と技術的ブロッキングの現状
Kickass Torrentsとは何か
Kickass Torrents(KAT)は2008年に立ち上げられたトレント検索エンジンおよびメタデータプロバイダーです。単一の企業が所有する形式ではなく、分散型のコミュニティプロジェクトとして機能してきました。ピーク時には月間数百万のアクティブユーザーを抱え、The Pirate Bayに次ぐ規模のトレント検索プラットフォームとして認識されていました。2015年にはFBIによる逮捕作戦により主要な運営者が拘束され、その後複数の後継サイトが立ち上がりましたが、元のブランドの統一性は失われています。
検閲が実施される理由
各国政府がKickass Torrentsへのアクセスを制限する理由は、著作権保護とコンテンツ規制に集約されます。イギリスではオフコム(Ofcom)および知的財産局の指導下で、ISPレベルでのブロッキングが実施されており、2014年以降段階的に強化されています。フランスではHadopi法(2009年)に基づき、著作権侵害サイトへのアクセス遮断が法的要件とされ、複数のISPが協力体制を敷いています。オーストラリアではAustralian Federal Court判例法により、権利者が申し立てたサイトへのISPブロッキングが認められており、Kickass Torrentsは頻繁にリスト化されています。これらの規制は具体的な著作権法違反の助長という名目で実行されていますが、実装レベルでは過度なフィルタリングとなる傾向があります。
技術的ブロッキング手法
Kickass Torrentsへのアクセス制限には複数の技術が用いられます。最も一般的なのはDNS遮断で、ISPのDNSリゾルバーがドメイン照会に対して偽造応答を返すか、NXDOMAINレスポンスを返す方式です。イギリスやオーストラリアではこの手法が主流となっています。次にIP制限があり、特定のサーバーIPアドレスへの通信を物理的に遮断する方法で、より強固ですがミラーサイトには効果が限定的です。高度なブロッキングとしてはDPI(Deep Packet Inspection)も用いられ、SNI(Server Name Indication)フィールドを検査して該当通信を遮断するケースも報告されていますが、これはユーザー側で回避可能です。
ユーザーが講じる対抗手段
技術的なブロッキングに対して、ユーザーが採用する一般的な手法は複数あります。VPN接続を用いてISP側のDNS遮断をバイパスする方法が最も基本的です。別管轄のDNSリゾルバー(例えば1.1.1.1やGoogle Public DNS)を直接指定することで、ISP側のDNS操作を回避できます。プロキシサーバー経由でのアクセスも有効ですが、Tor ブラウザのような低速ネットワークではトレント用途には実用的ではありません。より技術的なユーザーはSSL/TLSハンドシェイク時のSNI拡張を無効化するツール設定、あるいはHTTPSトラフィックを難読化するプロトコルを使用する場合もあります。
類似サービスと その規制状況
Kickass Torrentsと機能が近いプラットフォームとしてThe Pirate Bayが挙げられます。こちらは同じ国々でブロッキングの対象となっており、ユーザーベースは同程度の抑制を受けています。1337xやLimetorrentsは相対的にはブロッキングリストに載る頻度が低い傾向にありますが、これは単に規模が小さいため優先度が低いと考えられます。いずれのサイトも根本的には同じ法的リスクの下にあります。
規制状況の見通し
現在、Kickass Torrentsおよび類似サービスへのアクセス制限は拡大傾向にあります。イギリスやオーストラリアではISP協力枠組みが強化され、EU内でも加盟国ごとにブロッキング要件が統一される動きが見られます。技術的には回避方法が存在し続けるため、猫とネズミの非対称な関係が継続するでしょう。