← ガイド一覧に戻る
ExpressVPNが中国で規制される理由と技術的遮断方法
ExpressVPNとは
ExpressVPNは2009年にバージン諸島で設立されたVPNサービスです。Kape Technologies傘下の企業として運営されており、世界中に数百万のアクティブユーザーを有しています。同サービスは94カ国以上のサーバーロケーションを提供し、個人のプライバシー保護と地理的制限の回避を目的とした技術的ソリューションとして広く利用されてきました。
中国での規制背景
ExpressVPNが中国で規制・遮断されている主な理由は、中国政府による「グレート・ファイアウォール」と呼ばれるインターネット監視・検閲体制に関連しています。中国の工業情報化省(MIIT)は2017年以降、VPNサービスの許可なき提供と利用を段階的に禁止する指示を発行しました。これは中国憲法および「インターネット安全法」に基づく措置で、外資系VPNサービスの事前承認なしの提供は違法とされています。
政治的には、VPNサービスが中国政府の承認していないコンテンツ(民主化運動、人権情報、独立系メディア)へのアクセスを可能にすることを当局が懸念しており、情報統制維持の観点から積極的に遮断政策を推進しています。
技術的なブロック方法
ExpressVPNなどのVPNサービスは、中国では複数の技術手法で遮断されています。
まず、IPアドレスベースのブロックが用いられます。既知のVPNサーバーのIPアドレスが定期的にファイアウォールのリストに追加され、当該IPへの接続がグレート・ファイアウォールレベルで拒否されます。
ディープパケットインスペクション(DPI)技術により、VPN通信の特徴的なパターンが識別されます。OpenVPNプロトコルやその他の標準VPNプロトコルのトラフィック署名を検出し、プロトコルそのものをブロックします。
さらに、SNI(Server Name Indication)フィルタリングにより、TLSハンドシェイク段階でVPN関連のドメインを識別・遮断することも報告されています。
DNSベースのブロックも並行実施され、VPN接続用ドメインの解決が阻止されます。
ユーザーの一般的な回避方法
VPN技術に詳しいユーザーは、いくつかの回避戦略を採用しています。
プロトコル難読化(オブフスケーション)ツールの使用により、VPNトラフィックが通常の暗号化通信に見えるよう変装させます。これにより、DPI検出を回避できる可能性があります。
VPNサーバーのポート変更と、非標準ポート上での接続試行も有効です。
マルチホップ構成やブリッジサーバーを経由した二段階接続により、直接検出を回避するユーザーも存在します。
代替サービスの状況
中国での規制の厳しさから、同地域で比較的アクセス可能なサービスは限定的です。Shadowsocks関連のツールや、より難読化に特化した専門ツールが一部で利用されていますが、これらも継続的に規制対象となっています。技術的に確認できる完全に「規制されていない」VPNサービスは、現在中国市場にはほぼ存在しません。
規制動向の見通し
中国のVPN規制は2017年以来、全体的に強化方向で推移しています。当局の検出技術は継続的に高度化しており、新しい回避技術の出現と規制強化の「軍拡競争」状態が続いています。今後も規制が大幅に緩和される可能性は低いと評価されます。